一条工務店で家を新築される方のほとんどの方が採用されるであろう全館床暖房。
この床暖房を採用する際に循環液を回す配管が集約されたヘッダーボックス(HB)という物が配置されます。
という事で生活空間から目立たない場所に設置される事も多いです。
しかしこのヘッダーボックスは温まった循環パイプが集約されるだけあって付近の床面が暖かくなる場所なんです。
この特性を利用して私がヘッダーボックスの設置をおすすめしたいのが「玄関ホール」になります。
この記事は現在打ち合わせ中の方で
- 床暖房で寒さを感じたくない方
- 床暖房のエリア設定で迷っている方
- ヘッダーボックスの設置場所に迷っている方
などに読んで頂きたいです。
また既に寒さ対策として玄関ホールにヘッダーボックスを設置予定の方。
設計士さんによってはその意味を理解されず意味をなさない例もあるようです。
その辺も合わせてご覧頂ければと思います。
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一条工務店の床暖房ヘッダーボックス
一条工務店さんでは全館床暖房システムを採用した際にヘッダーボックス(HB)と呼ばれるものが設置されます。
このような白い扉が壁に設置されます。
内部には温められた循環液が集約されています。
1エリアに1本なので多くの家庭は最大で8本の循環パイプが配置される事になります。
また循環液は現在は2種類使われています。
- 寒い地域はピンクの不凍液
- その他の地域は水道水
見た目には色ですぐに判別できると思います。
床暖房の循環液が温かい理由
一条工務店さんで採用されている床暖房は「温水式床暖房パネル方式」と呼ばれるものです。
このように床材の下に温かい循環液を通すパイプが張り巡らされます。
この循環パイプを温かい循環液が流れることで周りのパネルや床材を温め家全体までをも温める効果があります。
断熱性能に優れた最新住宅だからこそ可能な暖房方式ですね。
床暖房は熱い?低温やけどする?のぼせる?
と思われるかもしれませんね。
一条工務店の床暖房を知らない多くの方は「ホットカーペット」の延長として考えるかもしれません。
しかしこの床暖房はそういうものとは全く違います。
冬季における床暖房の「設定温度」というのは地域により変わりますがおよそ26~30℃ほどかなと思います。
またこの温度設定に関しては誤解のある方もいると思います。
床暖房ヘッダーボックスから出た循環液は指定エリアを一周します。
その際にそのエリアを出る場所に配置された「温度センサー(サーミスタ)」が指定された温度になるまで循環液を温め続けます。
温度センサーはフローリング上からも確認ができますのでこのようなカバーが取り付けられる事になります。
温度センサーは循環パイプに巻き付けられ表面温度が計測出来るようになっています。
ということはヘッダーボックスの出発点はもうちょっと高い温度の循環液が流れていることになりますね。
一方でフローリングの表面温度は1~2℃ほど上がるだけなので「温かさ」を感じる程度なんです。
ヘッダーボックス前はどれだけ温かいのか?
ヘッダーボックスから出る循環パイプは1エリアに1本なので最大8本になります。
ただしヘッダーボックスに接続される配管は8本ではなく
- エリアへ出ていく配管
- エリアから帰ってくる配管
がありますので合計で最大16本の循環パイプが通うことになりますね。
よってヘッダーボックス付近は循環パイプが密集するエリアになります。
またヘッダーボックスから出たばかりの循環液は設定温度よりも高い温度になっています。
よって必然的にその循環パイプが密集した床面はその表面温度が高くなるんです。
床暖房の設定温度が26℃と30℃の場合のフローリングの表面温度を計測してみました。
ヘッダーボックス付近とその周りでは同じ設定温度でも2~3℃の違いがあることがお分かりになると思います。
玄関ホールはどれだけ冷え込むのか?
ところで床暖房のヘッダーボックスを玄関ホールに配置すると暖かくなると言っていますが
と思われる方もいらっしゃることでしょう。
全館床暖房により家全体の室温は暖かく一定を維持することでしょう。
しかし家の「暖かい場所」と「局所的に冷える場所」があることにより空気の流れが出来て寒さを感じるようになります。
家の中で局所的に寒さを感じる場所として
- 掃出し窓など大きな窓
- 土間のある玄関など
これらが多くの家の間取りに当てはまる場所となります。
特にも玄関ホールに関しては
- 寒冷地以外では床暖房が入らず冷たい土間エリア
- 断熱性能が悪い玄関ドア
- 玄関ドアを開け締めすることで室温が下がりやすい
という点から特にも寒さを感じることになります。
と思われる方もいらっしゃると思います。
何も対策をしなければきっと足元の空気の流れ(コールドラフト)を感じて寒さを感じると思います。
ただしそれはLDKの室温には現れない体感の寒さ。
これは我が家で温度設定を同じにした際の室温の差です。
家全体を同じ温度設定にした場合には日差しがなく冷えやすい玄関ホールは1.5~2.0℃ほど室温が下がってしまうんです。
と思われると思います。
実際に室温として感じる寒さとしては冬季にはそれなりの格好をしていますのでそこまでの寒さは感じないと思います。
しかし特にも裸足などで暮らしていると冷えた場所から暖かい場所へ冷気が流れていく感覚がお分かりになりますでしょうか?
まさにこんな風に冷気がフローリングを伝っていく感覚ですね。
関連 一条工務店:i-smartやi-cubeの床暖房の温度設定での注意点と設定例
玄関ホールの床暖エリア設定
玄関ホールの寒さ対策として一番効果があるのは床暖房のエリア設定を個別に分けるという点かなと思います。
関連 【一条工務店:床暖房】快適さのポイントはやはり玄関ホールのエリア・温度設定でした。
こちらの記事で玄関ホールの床暖エリア設定は隣接するエリアと出来るだけ分けて設定する事が望ましいとお伝えしました。
しかし若干の問題があります。
玄関ホールを個別にエリア設定が出来ないと一緒に設定した部屋なども影響を受けるんです。
我が家の場合は子供部屋が同じエリアに。
子供部屋は玄関ホールと同じく
- 陽当りが悪く
- 玄関ホールから繋がっている
- 部屋に対して窓が大きい
という点から室温がかなり上がりにくいです。
関連 こんなに大きいとは!窓が大きすぎて壁が無くなった4畳半の子供部屋
なので玄関ホールと同じように温度設定を上げても同じように室温を揃えることが可能です。
しかし床暖房の設定温度が高い事に代わりはありません。
布団などを直に強いて寝ることは寝苦しくかなり辛い状況になります。
床暖エリアの最小範囲
我が家のように弊害があれど子供部屋と同じエリアにする事で玄関ホールの床暖房エリア設定を分けられれば良いのです。
しかし現実はそこまで甘く無いんです。
それは床暖房のエリア設定の最小範囲が3畳であるという事です。
大きな家で広い玄関ホールの方は3畳分のエリアを確保出来るでしょう。
我が家に関しても約28坪の平屋にしては玄関ホールは広めかなと思いますがこれでも2.5畳ぐらいでしょうか?
多くの方が居室をできるだけ広くしたいと思い玄関は最小限の大きさにしたいはずです。
玄関ホールを単独でエリア設定するには
しかし何とか玄関ホールだけで設定が出来れば良いなと思うんです。
単独でエリア設定が出来ないのであれば居室以外の他の部屋と一緒にし3畳分の広さを確保する方法はあると思うんです。
- トイレ
- ウォークインクローゼット
- 洗面所
これらは玄関ホールの近くに配置される方もいらっしゃるでしょう。
それぞれ玄関ホール近くに配置するメリットがあると思います。
間取り設計上において色々な要素はあると思うのです。
床暖房ヘッダーボックスの存在意義を間違えないこと
このように床暖房のエリア設定で玄関ホールの寒さに対する対策をとるのが一番簡単なのです。
しかしそれが難しい方が多いのが事実。
だからこそ床暖房のヘッダーボックスを玄関ホールに設置して寒さに対して対策をしようという事なのです。
という事で間取り設計をしたとしても失敗する例があるんですね。
床暖房のヘッダーボックスは通常はこのように扉の前に循環パイプが密集する事が多いです。
なのでこの部分が温まることにより玄関ホールの寒さに対抗しようとするのが今回の前提です。
しかしその意味を理解しないままに玄関ホールにヘッダーボックスを設置しても失敗する例があります。
ヘッダーボックスの設置場所と間取りによってはヘッダーボックス前ではなく裏側に循環パイプが密集する場合もあるのです。
我が家は半々でしたが子供部屋も日当たりが悪く冷え込む場所だったので結果的に良かったと思います。
この失敗例はフエッピーさんのこちらの記事を参考にさせて頂きました。
ヘッダーボックスの設置場所まとめ
このように玄関ホールというのは家の中でも室温を下げる要素が大きな場所です。
特にも玄関ドアの断熱性能が低い方はその影響を受けやすいと思います。
家全体が暖かいと言われる全館床暖房ですが家の中で必ず室温差は出ます。
家全体の室温に差ができないようにする為には床暖房のエリア設定で対処するのが簡単です。
一方で玄関ホールの広さが足りないだけにそれが叶わない方も多いと思うのです。
だからこそフローリングから室温を上げる効果がある床暖房ヘッダーボックスは玄関ホールに設置する事でその力を思わぬ場所で発揮することが出来るのです。
見栄えの問題はありますが死角などを上手く使って上手に配置が出来れば良いですね。