みなさん家の設計時に窓の大きさってどの程度気にされましたか?
こんな考えが一般的ですよね。
しかし近年主流の高気密高断熱住宅において窓は出来るだけ小さいほうが良い。
特にも陽当りの悪い窓は出来るだけ小さいほうが良いとされます。
今回紹介するこの4畳半の子供部屋の窓は上棟が終わってから実物を見て妻と開口一番。
を顔を見合わせた窓になります。
この記事を読んでいただくと
- 平面図だけから窓の大きさを考える危険性
- 本当に窓が大きい必要があるのか?
- 窓が小さいと採光性が悪いのか?
- 窓だらけの部屋で本当に良いの?
という点に対して改めて考える機会を作れるかなと思います。
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子供部屋の窓はどんな窓か?
まずは子供部屋の図面からご覧頂きましょう。
3枚引き戸のWICを除いた4.5畳の部屋に
- 【J5545NL+782】という引き違い窓
- 【JK2445N+782】という押し開き窓
この2つの窓を配置しました。
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また実際に出来上がった窓を見るとこのようになります。
こちらが引き違い窓をメインに撮影したもの。
こちらが押し開き窓をメインに撮影したものです。
どうでしょうか?
4畳半というサイズから考えるとかなり大きな窓だと思いませんか?
私と妻が思わず出してしまった
という言葉は部屋の壁のほとんどのスペースを窓が覆っていることに対して発せられた言葉でした。
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部屋の大きさに対して窓が大きいと感じた
みなさん窓の大きさはどこで確認されましたか?
我が家は入居宅訪問はしませんでしたが引き渡し前の内覧会的なものには2軒ほど伺いました。
しかしその際は
などというように間取りや住設などを確認するだけで窓の大きさなどはあまり気にしませんでした。
一方で我が家で窓の大きさを確認したのは主に展示場でした。
特にもキッチンに配置した正方形の3連窓はあまり展示している場所がなくて近隣の展示場を探した覚えがあります。
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そんな訳で子供部屋に設置した窓はいずれも展示場で確かに大きさを確認したんです。
ただし一つだけ体験していなかったこと。
それは4畳半という空間に設置された時の大きさですね。
図面上では分かっていたサイズ感
もちろん設計時には窓がどれだけの大きさで、残った壁がどれだけでというのは考えていました。
例えばこの子供部屋ですが。
4畳半という3マス×3マスというサイズの中で窓と扉と戸袋を除いた場合。
この点線部分で囲われた場所しか有効に使える壁が無くなるというのは認識していました。
なので机などを置いた際に出来るだけ壁を大きく取れないかという事で部屋の入口になる引き戸のサイズを有効内寸が741ミリあるC100ではなく、有効内寸が703ミリであるC311に設計しました。
しかしですね、やはり出来上がってみると壁の大部分が窓に占領されている印象が大きかったのです。
ポイントは窓の開口部・高さ
一般的なハウスメーカーさんで作られる家の室内の天井高は約2400ミリで設計されている家が多いかなと思います。
天井高2400の家で考えると+782という窓の高さ設定は壁の2/3が窓になるわけですね。
一方で+1238というサイズは壁の1/2が窓になることになります。
多くの方は家の設計時に図面上で横方向(幅)に対して窓の割合は考えることでしょう。
だからこそ上棟が終わって窓を見た時に思ったよりも縦方向に窓が大きいと思ったんでしょう。
そしてこのちょっとの窓の高さの差によって壁の使い方や印象は大きく変わる気がするんです。
+782の窓
採光面や眺めは?
+782の窓は腰のあたりから窓がありますので小さな子供でも外を眺められる高さになります。
3歳0ヶ月の男の子の平均身長が93.3cmということなので3~4歳ぐらいになると外を眺められるようになりますね。
景色がよく採光面も問題がない一方で窓の外の環境次第ではまともに外の景色を見ることが出来ません。
外から丸見えになってしまいますからね。
よってカーテンやハニカムシェードを下げることになりそうです。
外からの視線を考えると+782に基礎分の約550ミリ(55cm)を足すと約1332ミリ(133.2cm)なので大体の大人が室内の全体を覗ける高さになります。
机を置いた際の使い勝手
一般的な机の高さは70センチ程に設定されている事が多く窓際に机を置く際にも邪魔になる高さではありません。
しかし机を置いた際に窓枠が間近に迫っています。
よって机の前に座った場合にそのまま外が丸見えになってしまうわけです。
作業スペース的な机や台(カウンター的なもの)を置く分には外の景色を見て気分転換でもしながら作業が出来て良いと思うのです。
ベッドを置いた際の使い勝手
またベッドを置く際にもそのサイズやマットレスの使い方によりますが窓の高さに被る可能性も出てきます。
こちらは一般的な商品として無印良品さんで取り扱っている収納ベッドとマットレスを参考に図を書いてみました。
ベッドとマットレス自体は二段ベッドクラスのサイズでなければ直接窓に被ることはないでしょう。
しかしここに書かれていない「人が寝る」という状態になるとベッドが被らなくても掛け布団などが被る可能性はあります。
またカーテンを使用する場合にはベッドを壁に設置して使用すると掛布団などと被ってちょっと大変だったりします。
※ハニカムシェードの内側にカーテンを設置する場合を除きます
ハニカムシェードを閉めた際にも夜に寝ている間にハニカムシェードに接触してレールから外れたりという可能性が出てきますね。
寝相によっては上に掛けているものを蹴飛ばしてハニカムシェードに接触する可能性もあります。
+1238の窓
採光面や眺めは?
一方で+1238の窓はどうでしょうか?
眺めという観点から考えると小さな子供はなかなか外が見えづらいでしょうね。
10歳0ヶ月の男の子の平均身長が136.4cmだそうで、小学校高学年ぐらいにならないとそのまま外を眺められないことになりそうです。
採光面に関しては+782に比べれば悪いでしょうがすごく暗くなるかと言われればそんな事は無いと思います。
外部からの視線を考えると+1238に基礎分で約550ミリ(55cm)を足すと1,788ミリ(178.8cm)なのでよほど高身長でなければ中を覗きこめない高さになります。
精々部屋の天井を見上げるに留まるでしょう。
+782の窓は環境によっては外からの視線を気にしてレースカーテンやハニカムシェードなどを利用して常に外部からの視線を切らなければならないですよね。
一方でこの窓は外部から中がほとんど見えないですよね。
机を置いた際の使い勝手
+1238の窓の場合は一般的な机の高さが70cmとすると約50cmほどの壁の余裕があります。
この壁は机を配置した際にはすごく大事な壁になりそうです。
本を立て掛けてもよし、何かを貼ったりするスペースにするもよし。
ベッドを置いた際の使い勝手
ベッドを置くことを考えると先程+782の窓の際に上げたデメリットは全て解消されるように思います。
カーテンに干渉することもない。
掛け布団などがハニカムシェードに干渉することもほぼない。
窓を選ぶ際の理想と現実
間取り設計の段階で間取りと同時に窓の選択というのはどのようなポイントで決められる事が多いでしょうか?
とにかく大きい窓を取り付けたい!
恐らく一般的な考え方はこれが前提ですよね。
大きな窓は開放感や部屋が広く見えるなどの効果がありそうです。
設計士さんからの提案も恐らくその部屋に取り付けられる最大サイズの窓なんかが提案されるのではないでしょうか?
高気密高断熱住宅においては陽当りの良くない場所に関しては特にも窓は極力小さいほうが良いです。
特にも冬季の床暖房稼働時にその影響が大きく出てきます。
このような事は多くの設計士さんや営業さんは教えてくれないことでしょう。
そして先程も申し上げたとおり大きな窓を設置してもその景観を最大限に堪能するには「外構計画」など周りの環境による所が大きいです。
本当にその窓はそこまで大きい必要があるのかどうか?を今一度考えてみることが必要かなと思います。
関連 【一条工務店】何で室温が上がらないの?床暖房の効果を決める大事な要素を知ってほしい。
部屋の窓の高さを揃えたい!
我が家においては設計時に窓の高さを揃えるように計画をしました。
それは後述する理由とは別に単純に
と思ったからです。
こちらの子供部屋ももちろんですが。
こちらの主寝室も+782の高さの窓で統一しております。
間取り設計時ってこういう事に拘りがちなんですよね。
正直言うと+782にする明確な理由がなければここまで大きな窓は必要なかったなと思います。
もちろん必要があれば積極的に採用しても良いと思います。
外観のバランスを気にしたい!
家を外から見た時の窓のバランスを気にされる方も多いでしょう。
特にも一条工務店さんで建築をした場合にi-smartで採用される大型の窓や三連窓などは外壁の色の塗り分けなどと含めて拘りを見せられる場所でもありますよね。
これはもう施主さんの自己満足の世界なので何も言えませんね。
私は家の出来栄えは家の外観のみならず外構と合わせて初めてその印象が決まるものだと思っています。
一方で窓を含めた家の外観というのは気にしているのは本人ぐらいなものです。
皆さんはご近所の家の窓の形なんて気にしますか?
せいぜい家を設計している人が他所の家を参考にしようと住宅地を見て回っている時に印象が変わる程度でしょうか。
とか言いつつ我が家では立派にi-cubeでお馴染みの3連窓を配置しているわけです。
この窓に関しては物干しの為に採光が欲しいという目的があったので無駄な窓では無かったと考えています。
窓に対して均等に採光を取るためには最適な窓選択だったと思っています。
この外観に対しての考え方に関しては施主さんが機能性と見栄えをどのようなバランスで採用されるかに掛かってくるのかなと思います。
とくにも家がメインで見える場所に関してはある程度の拘りがあっても良いなと思います。
しかし陽当りがよくなく周りからもあまり見えない場所の窓に関しては外観よりも暮らしやすさを求めた窓選択をオススメしたいです。
我が家に+782の窓が多い理由
ここまで偉そうな事を書いておいてどうして我が家に+782の窓が多いんだよと思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
まずは大前提として間取り設計時にはそこまで窓の大きさに関して知識が深くなかったこと。
窓が大きいほど冬に寒く夏に暑いという事は薄々考えてはいたもののそれを理由にして窓の種類を変えようというまでの認識がありませんでした。
程度の知識しかありませんでしたしね。
我が家の設計時には窓に関してはあくまで「採光面」をメインに考えていたかと思います。
こちらの主寝室および子供部屋の窓は全て+782の窓です。
子供部屋に関しては陽当りが悪いことから出来るだけ大きな窓を配置して明るくしたいなと思っていました。
今思うとその考えは全く逆行した考えだったわけですね。
しかし一番の理由は息子の抱えた病気の予後が良くなかった場合にベッドに寝ている時間が長い場合を考えての事でした。
ベッドに寝たきりの状態でも出来るだけ外の景色が見えるようにしたかったのです。
現在の息子の状態を考えると嬉しいことに無駄な設計になってしまったのかもしれません。
また今後も無駄だったなと思えるようであって欲しいです。
このように将来に向けて設計をすることは冬の寒さの原因になるとしても譲れないものでした。
しかし今の私の知識を持って設計をするとなると
この2ヶ所の窓に関しては+1238の窓にして少し小さめにしても良いなと思います。
窓を選ぶ際のポイントまとめ
「見た目」や「開放感」を求めて窓を設置するのは施主さんの満足度に大きく貢献することでしょう。
そこにしっかりとした「目的」というか「存在価値」があるのならばそれはとても有用な窓だと思います。
一方で今までの先入観が邪魔をして「無駄に大きいだけの窓」を作らないことが大切かと思います。
今回のタイトルにある4畳半の子供部屋というのは多くの間取りで採用されやすい大きさの部屋なのかなと思います。
そして4畳半というサイズの部屋は子供部屋に限らずに将来的には様々な用途があると思います。
その中で限られたスペースだけに家具を壁にくっつける事が前提になろうかと思います。
我が家においてはベッドなどに寝たきりになった時の景色を求めるがゆえに窓の機能性との双方のメリットを両立させる事は難しく最適解は無かったのだと思っています。
しかしこれから設計をされる方においては
という先入観に囚われずに「使える壁」をもっと大事にしてほしいなと思います。
それが全館冷房や全館床暖房を使った高気密高断熱住宅での毎日の暮らしをより良いものにする手助けとなると思います。