エアコン1台の全館冷房を計画してなかった家で快適に暮らす方法

エアコン1台で家全体の冷房と除湿を行う24時間全館冷房。
全館冷房をする為には家の設計時から様々な準備が必要になります。
しかしほとんどの人がそんな事全然知らなかったよ!という感想を持ちながら記事や成功報告を見て
「全館冷房なんて出来るんだ~。」
「今年は私もチャレンジしてみようかな!」
と思い立ちそして挫折してしまうわけですね。
今回はその挫折の原因としてよく相談を頂くことになる
- エアコンで室内が冷えすぎる!
- 湿度が上がって不快になる!
という事に対して一条工務店さんを含めた高気密高断熱住宅においてどのような対策を取ることが出来るのかを考えてみたいなと思います。
これにより全館冷房に対して準備をしていなかった家でも快適な生活を送るヒントを得られる訳です。
ただしこれは何も対策がなされていない人に対して出来うる限りの対策である事を承知の上でご覧ください。
きっと今よりは快適で過ごしやすい空間が出来上がると思いますよ。
エアコンが寒いという方の特徴
24時間全館冷房にトライする方が最初に躓く原因が先程も紹介したエアコンにて室内が冷えすぎるということですね。
もしくはエアコンの設置位置により冷風を直接浴びてしまって耐えられないというものかなと思います。
この場合そもそも稼働すべきエアコンを間違っている事が多いかなと思います。
まずは家の中でのエアコンの設置位置と、どのエアコンを動かすべきなのかを考えてみましょう。
間違ったエアコン設置位置
みなさんは新築時にどれだけのエアコンを設置しましたでしょうか?
ほとんどの方がハウスメーカーさんの設計さんなどに促されるままに設置をしたのではないかなと思うのです。
一般的な小さな子供がいる家庭を想定しますと、
- 家族が集まるLDKにメインエアコン
- 小部屋は寝室など直ぐに使う部屋のみ設置
こんな方も多いのではないでしょうか?
子供部屋は間取り設計されていてもまだ本格的に使うことはないのでエアコンのスリーブ配管だけ開けておく。
そして子供部屋を本格的に使おうという時にエアコンを設置するという方も多いのではないでしょうか?
小部屋のエアコンは24時間冷房には使えない
エアコンを稼働して部屋が冷えて湿度が上がってどうしようもない!というサーモオフ特有の悩みを抱える方を拝見すると決まった特徴があります。
それはエアコンを稼働しているのが寝室などの小部屋であるということです。
小部屋といってもサイズによりますが多くは4畳半からせいぜい8畳、大きくても10畳ほどでしょうか。
そしてなぜか寝室が多い。
これは寝る際に暑苦しさを感じて夜間にエアコンを稼働する事に起因するのかなと思います。
夜間に限らずに24時間冷房の際には基本的に扉を開けっ放しにして閉鎖された空間をなくすることが大前提です。
これを改善するにはエアパスファンなどの採用が必要になるのですが稟議案件ですしここではあまり触れないことにしましょう。
もしくは再熱除湿付きのエアコンが必要になるかなと思います。
エアコンは広い空間へ
24時間冷房には大空間に設置されたエアコンを使おう
24時間冷房のためにエアコンを使う場合にはエアコン周りの温度を冷やさない為に出来るだけ大空間に設置されたエアコンを使うことが大前提となります。
よって寝室などの小部屋に設置されたエアコンを24時間稼働させることはそもそもの間違いなんです。
多くはLDKなどが家の中で一番大きな空間になるかと思います。
また2階建ての場合には吹き抜けがあればその空間がさらに広がりますね。
その際にエアコンからは常に冷たい冷気を出すことになります。
よってその冷気を直接浴びないような場所にエアコンを設置する必要があるわけです。
- 冷房の場合:15~20℃
- ドライの場合:20~22℃
再熱除湿のドライ運転は寒くないと誤解がありますがしっかりと寒さを感じる冷気が出てきます。ただし部屋を過度に冷やす冷気ではないというだけです。
エアコンの位置が変更できない場合
一方で吹き抜けがなかったり既にエアコンを配置済みの方は冷気を撹拌する方法が考えられますね。
これは我が家で行っているサーキュレーターなどを使う方法が挙げられると思います。
お困りの際は一度騙されたと思って真似してみてください。
関連 エアコン全館冷房対策の検証から見る、これから間取り設計する人に考えて欲しいこと。
エアコン設置位置の重要性
このようにエアコンの設置位置というのは非常に重要な要素になってきます。
それは2階建て住宅において24時間冷房を前提とした
- 吹き抜けの2階上部
- ボックス階段を上がった2階ホール
などという設置位置だけではなく平屋などの場合に冷気を直接浴びることがない間取りという観点からです。
間取り検討をする場合には部屋の配置や収納や扉の選択など非常に頭を悩ませることと思います。
その際にエアコンの設置位置に関しては
- 余った場所でここしか無いな、ここで良いかな。
という考え方になりがちかなと思います。
この設置場所の選択によりエアコン稼働の難易度が大きく変わります。
結果的に5月から10月という半年もの長期間の暮らしやすさに大きく直結するポイントになるのです。
これから間取り設計をされる方においてはエアコンの設置位置に関しては他の要素と同じぐらい拘って位置設定をして欲しいなと思います。
離れた小部屋は暑くならないの?
例えば平屋などの場合は長い廊下を挟んで小部屋がある間取りの方も多いかと思います。
LDKなどから廊下で離れた場所にある小部屋などは今までの感覚ではエアコンの冷気が届かず部屋を冷やせないと思いがちですよね。
でも高気密高断熱住宅においてはそうはならないのです。
基本的に同じ階の場合は扉を開けっ放しにしていると驚くほど同じ温度帯になると思われます。
昔からの日本家屋のように家の端っこの部屋だけ暑いということは無いのです。
暑い部屋も有るんだけど!
いや同じ階でも暑くなるよ!という方もいらっしゃるでしょう。
それは多分陽射しの問題かなと思うのです。
その部屋は南側や西側に大きな窓をとっていませんか?
昼間に太陽の陽射しを満遍なく浴びていませんか?
もちろんそのような場合には室温が上がってしまいます。
だからこそ外部の日除けが大事になってくるのです。
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ちなみにハニカムシェードやカーテンをすれば日除けになるよというのは若干間違っています。
多くの高気密高断熱住宅にはペアガラスからトリプル樹脂サッシなどの高性能な窓が採用されています。
以前のような暑さは無いのですがそれでも直射日光による暑さを防ぐことは出来ません。
- カーテンやハニカムシェードが取り込んだ熱
- 家の躯体に取り込んだ熱
これらの影響で継続的に暑さを感じる湯たんぽのような部屋になることを忘れてはいけません。
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とはいえ何も対策をしないよりは効果があることも確かです。
外部日除けの対策が出来ない方はせめて室内での陽射し対策はしっかりしましょう。
2階の小部屋はどうするの?
多くの方の生活の中心となるLDKは1階に配置されている方が多いかなと思います。
1階の空調管理が上手く出来るとあとはその快適な空気を2階に送ってやると良いと思います。
その際には大風量のサーキュレーターなどが必要になるかなと思います。
扇風機でも良いのですが空気の直進性がサーキュレーターは段違いなのでこの場合にはぜひサーキュレーターを使用してほしいなと思います。
この状態であれば恐らく1階よりも1℃~2℃ほど高いだけの室温で2階も維持出来るのではないか?と思うのです。
しっかりと除湿された1階の空気を送り込んでいるので2階も快適な湿度になっているはず。
この状態であれば暑さを感じる際には扇風機などを併用することでエアコンの冷風を直接浴びたりするよりもかなり快適な暮らしが出来るのではないか?と思います。
ここでも重要な陽よけの存在
1階の場合は隣家の存在などにより日陰になる部屋も多く窓の配置によってはそこまで陽射しの影響を受けない部屋もあるかと思います。
一方で2階の場合は窓の配置によっては余計に陽射しの影響を受けて室温が上がってしまう部屋も出てくるかと思います。
この外部からの影響による室温の上昇を抑えることが何より大事になるわけです。
多くの場合に2階は寝室などプライベートな部屋が多く部屋に滞在するのは夜間の場合が多いのではないでしょうか?
外部日除けが設置できない場合にはハニカムシェードやカーテンなどでしっかりと陽射し対策をしてみましょう。
間取り例から見る設置可否
それでは一条工務店さんが公表している間取り例から24時間エアコンを稼働して良い部屋と悪い部屋を見てみましょう。
- ◎:24時間全館冷房に適した場所
- ○:ここしか無いからしょうがないなという場所
- △:場合によって有りかなという場所
- ×:駄目な場所
ボックス階段の2階建て
こちらの間取りではボックス階段を使用していますね。
ボックス階段とはいえ1階からの暖気が上に上がってきますので必然的に2階の階段ホールが一番暖気が集まる場所になります。
よってこちらが一番良いエアコン設置場所になると思います。
しかし一般的にはLDKで稼働させたエアコンの冷気をボックス階段から2階へ送り込んでやるのが出来る限りの事かなと思います。
2階寝室のポイント
こちらはもちろん24時間冷房には向かないエアコン設置位置になります。
しかしもしも1階から風を送り込んでも快適に出来ない場合には2階で唯一エアコンを動かせる可能性がある部屋かなと思います。
それは南西側で一番陽射しを取り込んで暖かくなる可能性のある部屋だからです。
もしも子供がまだ小さくて一緒の部屋に寝るのであれば子供部屋に寝ることにして主寝室はエアコンを動かす部屋にすることも有りかもですね。
もちろんある程度エアコンの冷風を浴びない場所に寝て過ごせるのであればそれで構わないと思いますよ。
吹き抜けのある2階建て
吹き抜けの上なんて絶好のエアコン設置場所になりますが何も知らずにここにエアコンを設置する人はまずいませんよね。
ここから吹き抜け下と2階に冷風を分けるように出してやると家全体の空調管理が出来そうです。

LDKで稼働させたエアコンで快適になった1階の空気をサーキュレーターで吹き抜けから一気に2階へ送ってやることである程度2階も快適になるのではないかと思います。
この場合は2階にある洋室(子供部屋)はしっかりと陽射し対策をする事が大事かなと思います。
まとめ
今回は全館冷房を計画していなかった人が全館冷房をしようと思った際に対策出来そうな事を考えてみました。
一般的に全館冷房を前提にした場合には2階建ての場合は各部屋のエアコンを稼働するのではありません。
階段ホールや吹き抜けに設置したエアコンを稼働させる事になります。
それが出来ない時点で2階のエアコンを24時間稼働させて1階まで管理しようということはまず不可能であると思います。
これをやろうと思って寒い湿度が上がると言っても何も始まらないのです。
このような場合は1階の一番広い空間で作った快適な空気を2階に送り込んでやる事が一番間違いないのかなと思います。
特にも一条工務店さんの家に限っては再熱除湿付きのRayエアコンが1階LDKなどに設置される例が多いと思います。
冷房運転で稼働できればそれでも良いです。
しかしこの再熱除湿のドライ機能を大空間でしっかりと使うと多くの方の全館冷房成功への道筋が見えるのかなと思います。
2階の小部屋に再熱除湿方式のエアコンを設置出来るのであればよいのです。
しかしそれが出来ない状態であれば
- まずは1階の大きい空間=LDKなどを快適に管理すること。
- その空気を2階に送り込むこと
まずはこちらにトライしていただければなと思います。
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