今回は間取り設計失敗例として本来は床暖房が配置されない、配置出来ないはずの階段下収納に床暖房が配置されてしまった例を紹介したいと思います。
とはいえこのカラクリはタイトルを見るまでもなく一条工務店さんで家を建てたり計画された方なら直ぐに分かるかもしれませんね。
その原因となる床暖ヘッダーボックスの配置などを考える記事になれば良いなと思います。
間取り設計失敗例シリーズのおことわり
この記事の目的は間取り設計時に気づきにくい問題点を改めて確認する為の物です。
過去に建築された方などの事例や実際に住んでからの失敗・後悔点を参考にしてその問題点を確認するためのものです。
また過去事例にとらわれず、間取り設計中に気をつけたいポイントなども紹介していきたいと思っています。
紹介する内容については成功・失敗の捉え方が人により変わる点もあります。この相違は生活習慣の違いだったり感性の違いなどにより発生するものです。
失敗と思わない方も人によっては問題点と捉えかねない事案であるという事でご了承下さい。
これにより紹介した方を蔑んだりするような意図が全く無いことを予めご了承下さい。
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床暖房が配置されないエリア
全ての家において標準装備ではないものの一条工務店さんの家ではほぼ全ての方が採用されるであろう全館床暖房。
「全館」というだけあり他メーカーさんなどで導入されるような限定的なエリアで採用されるホットカーペットの延長のような床暖房とは違い、居室だけでなく廊下やお風呂やトイレにまで床暖房が設置されるのが特徴です。
そんな全館床暖房でもエリア配置によって床面の表面温度が下がってしまうエリアがありますよというのはこちらの記事にて紹介しました。
https://www.maboko.net/advice-19/
今回はその逆バージョンの失敗例になるわけです。
床暖房が配置されない場所というのは主に以下の場所になります。
- 玄関土間(寒冷地以外)
- 階段
- 階段下収納内
- システムクローゼットや押入など収納内
- 床下換気口の蓋
- 配管などを施工する場所
- ロフトや小屋裏物入れなど
この中で今回の失敗例が出る可能性があるのが
- 階段下収納内
になります。
床暖ヘッダーボックス(HB)で床が温まる
床暖房ヘッダーボックスとは床暖房の循環パイプが見える唯一の場所になります。

現在の仕様では床暖ヘッダーボックスに関しては異常時の点検作業などに使われるだけであり、入居して初めての床暖房使用時にバルブを開くなどの操作をした後は特別操作の必要が無いものです。
一方で床暖房システムは夏季においても循環液を回しているのでRayエアコンと共に基本的にコンセントを抜かないように指示があります。
コンセントを抜くというのはもう長期的に床暖房を使用しないとう最後の段階なのかなと思います。
ガス式の床暖房システムの場合は手元に資料が無いので分かりません。
床暖房の循環バルブを開ける作業というのは工事課さんの担当監督さんが入居前に行っている場合もありますし、ご自分で作業する必要のある方もいらっしゃいます。
これは新居の引き渡し時期や担当監督さんのやり方によってまちまちのようですね。
バルブを開ける作業というの慣れない上に恐らくほとんどの方が1度行うかどうかの作業です。
以前は毎シーズン閉めろなどという指示があったのでしょうか?
ブログなどで前はそのような記載を見た覚えがあるのですが現在その必要は無いようです。
お恥ずかしながら我が家でも最初に床暖バルブを開けた際に失敗して開けきれておりませんでした。
関連 なぜ暖まらないの?一条工務店の床暖房を初めて使う人が失敗する元栓バルブの開栓作業
結果として床暖房のスイッチがONになっているのにも関わらず家が一向に暖まらなかった経験があります。
こちらのヘッダーボックスですが床暖房の循環パイプのいわば心臓部分になります。
建築中の様子を見てもその循環パイプの集まり具合は凄いですよね。

このように床暖ヘッダーボックスの前面というのは循環パイプが集合する場所であります。
また熱源によって暖められた循環液が出て行く場所になりますので一番暖かい循環液が通る場所でもあります。
よってこのヘッダーボックス前面は家の中でも特に床面の表面温度が高いエリアになるわけです。
床暖ヘッダーボックスの設置場所
床暖ヘッダーボックスの配置場所に関しては色々とルールがあると思います。
基本的に床暖の循環パイプを引き回す関係で壁にスペースが無いと設置が出来ません。
- 外壁面
- 裏側に押入れやクローゼットが垂直に刺さる場所
- 裏側に壁などが垂直に刺さる場所
- 裏側が戸袋のようにスペースが少ない場所
- ユニットバスが裏側にある壁
- 2階建て以上の場合は1階のみ
この他にもルールがあったと思うのですが思いつく場所はこれぐらいかな。
我が家のように引き戸メインの家だと特にも有効に使える壁って少ないんですよね。
壁が無いわけではないのですがリビングなどの居住空間を避けようと思うと間取り設計をしていた終盤になって「あれっ、ヘッダーボックスを取り付ける壁がすくない!」なんていう事もあるかと思います。
我が家がそうでした。
そんな中で階段下収納が使える間取りの方はそちらにヘッダーボックスを設置する方も多いのではないでしょうか?
階段下収納に設置した床暖ヘッダーボックスが原因
今回の事例は床暖ヘッダーボックスを階段下収納に設置した為に、本来は床暖房が配置されない階段下収納の床面がよりによって一番暖かい床面になってしまったという事になります。

配置イメージはこんな感じの方が多いのかな。
- ヘッダーボックス扉を開く必要がほぼ無いこと
- 扉などの見た目の問題
- 設置場所の問題
などから階段下収納を設置されている方はその収納内に設置される方も多いでしょう。
ヘッダーボックスを取り付けると循環パイプの起点となり一部分ではありますが強制的に床暖房が配置されてしまいます。
冷えた場所のはずが一番暖かい場所に
今回の失敗例として紹介した方はこの階段下収納に関しては床暖房が配置されない場所として認識していらっしゃいました。
その為に他の居室に比べて若干でも涼しい、少なくもと床面は冷えていると考えていたようです。
しかし家が出来た後に階段下収納が暖かいことに気づいた際に
「お米を置こうと思ってたのに置けなくなった!」
という嘆きの声をお聞きしたことからこの記事を書いています。
なぜなら床暖ヘッダーボックスの前のエリアは循環パイプが集約されて一番暖かいはずなんですが

このように床暖のエリア設定の範囲外になっており床暖房が配置されるような記載も無いからです。
一方でこのような配置の場合はどうでしょうか。

床暖ヘッダーボックスの前に床下点検口が配置されています。
この場合ですが床下点検口の蓋の部分にはどうやっても循環パイプが配管されません。
なので暖かいエリアも最小限になるのかと思ったのですが・・・。
家全体へ配管を回す為には左右に配管を伸ばさなくてはならないようで、実際にお聞きしてみた所このエリア辺りまで暖かい床になるようです。

よってこの階段下収納はエリア表示が無いにも関わらず、収納ということでほぼ閉め切った狭いエリアである事からも暖かい場所になっているようです。
冷える場所や暖めたい場所に設置するのは吉
このように床暖ヘッダーボックス前のエリアは一番暖かい循環液が配置されますので床面の表面温度も一番高くなると感じます。
これを利用することにより利点も生まれそうです。
http://blog.goo.ne.jp/g-korony/e/e8b7fd3e544e84838c2201561457b54f?fm=rss
この記事で紹介されているように玄関ホールに隣接したWICに設置された床暖HBのお陰で周りよりも若干暖かく感じる空間となっているようです。
これにより濡れた上着などが早く乾くメリットがあるようですね。
また我が家を例に取ってみますと。

こちらをご覧になって頂いても分かるように床暖ヘッダーボックス前のフローリング表面温度が特段に暖かいのがよく分かると思います。
玄関ホールはどうしてもフローリングが冷たくなりがちな場所ですので、見栄えの問題をクリアできるのであれば確実に寒さ対策として機能してくれるものと思います。
我が家でも冷え込む玄関ホールの温度低下防止に多少なりとも貢献しているのかもしれません。
床暖ヘッダーボックスの扉は見た目が悪そうに見えるかもしれませんね。

我が家の場合はこの親子ドアの親ドアを常に開けっ放しにしているので床暖ヘッダーボックスは隠れてしまって気になりません。
※隠しきれて無いよというツッコミは無しでお願いします。
というか居住エリアにあるとその存在感は増すかもしれませんが、玄関ホールで玄関から入って目の前とかでなければ住んでる人が思うほど来客の人は気にならない、気にしないのではないか?と思ったりします。
シューズクロークなどを配置している間取りの方はその家族玄関側に配置するのも良いかもですね。
また脱衣所(洗面脱衣所)やWICなど服を脱ぐ際に寒さを感じる場所なども若干ではありますがその恩恵を受けることが出来るかもしれませんね。
まとめ
今回は床暖房が配置されないはずの階段下収納に床暖パイプが施工されて暖かい場所になってしまった事例を紹介させて頂きました。
床暖ヘッダーボックスの前の床は特にも暖かいエリアになることから設置場所によっては思わぬ利点が生まれる可能性もありそうです。
特にも家の中で寒くなりそうなエリアに設置することでその効果を感じることが出来るかもしれませんね。
今回の失敗例は長期保存したいものが置けなくなってしまった!という失敗談から記事を書かせて頂きました。
この階段下収納が暖かくなってしまった事例に続いてお米や野菜などの長期保存が必要な物を保管する場所について検証もしてみました。
このまま続けて紹介したいところですが記事のボリュームが倍以上になってしまうので追って別記事にて紹介させて頂きたいなと思います。
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