全館冷房について多く触れております当サイトですがよくこんな問い合わせが来るんです。
エアコンを稼働したまま外出し帰宅した際に冷房運転に比べて再熱除湿方式のドライ運転の方が暖かい風のはずなのに部屋が冷えてしまうんですがどうしてですか?
実はこの質問は複数の方から頂いたものなんです。
お話を聞く中で原因は何かな?と考えるとこれはエアコンの挙動とエアコンから出る冷風の温度に関係があるのではないか?と思うので紹介してみたいなと思います。
これは全館冷房を計画していなかった人がエアコン1台でトライしてみよう!と思った時にエアコンの挙動に関して最初に躓くかもしれない事なのかなと思います。
こんな事もあるのかなと思いながらご覧いただければと思います。
一条工務店で床暖房とセットで採用される長府製のRayエアコンを例に説明させて頂きますが2018年3月中旬上棟分から再熱除湿方式が廃止になっている新型に変更になっていますのでご注意ください。
冷房と再熱除湿方式のドライ運転の違い
冷房運転と再熱除湿方式のドライ運転の大きな違いは簡単に言うとエアコンから出てくる冷風の温度です。
冷房運転がキンキンに冷えた風だとすると再熱除湿のドライ運転の風はある程度暖められているので室温に近い風が出てくることになります。
明確には違うのだと思うのですが私としては冷房運転が
- 冷風を出しまくって設定温度になったら送風=サーモオフ状態になる
- 室温が上がってきたらまた冷風を出す
という極端な性質がある一方で再熱除湿のドライ運転は
- そこまで冷え切ってない冷風をずっと出すことにより安定的にエアコンを稼働させる
というイメージを持っています。
設定温度による冷風の温度の違い
再熱除湿の方式のドライ運転は一度冷やされ除湿された空気を再度温めてから送風する運転方式です。
なのでエアコンから出てくる風が送風状態に近いものであると誤解される方も多いようですね。
エアコンの種類などによっても変わると思うのですが我が家で使用しております長府製のRayエアコンを例にしてみますとこのような違いがあります。
設定温度:23℃
風量:弱
- 冷房運転 15~20℃
- ドライ運転 20~22℃
という風に出てくる冷気には温度差があります。
エアコンは常に一定の風が出る訳ではない
ここで注意したいのはエアコンは同じ設定でも全く同じ風が出続けるわけではないということです。
これはエアコンが設定温度になってサーモオフしているという事とは別の話です。
エアコン周りが十分に温かい状態で例えば冷房運転をしているとコンプレッサーが動いて冷房が進んでいる中でも出てくる冷風は時間によって変わります。
先ほど紹介した我が家で全館冷房に使っている基本設定23℃の風量弱運転でも基準が15~20℃の風が出ていることが多いですが場合によっては
- 10℃前後の風が出てきてガンガン除湿している時間帯
もあれば
- 23℃前後の湿った風が出てきて送風に近い時間帯
もあるんです。
ただしこれは直ぐに通常の温度帯の除湿された冷気に戻ります。
これはエアコンの制御の問題であって個人的にはエアコンがダッシュした後に一休みするような感じで見ています。
直ぐに適切な運転に戻りますしそれでも一定時間で見るとしっかりと冷房・除湿が進んでいるのです。
では表題の問題に戻るのですがどうしてより冷たい風が出る冷房運転よりドライ運転の方が室温が下がってしまうのでしょうか?
ポイントはエアコン周りの環境
ドライ運転の方が室温が下がってしまうというお話を伺ってその条件をお聞きするとだいたい同じような条件の方が多いです。
- 外気温がそこまで高くない
- 全館冷房を想定していない間取り
- 2階建てなのに1階のエアコンを稼働している
- エアコン周りが冷えやすい
このような条件の方が多いように感じました。
冷房運転をした場合
この状態で冷房運転をしてもエアコン周りが冷えてサーモオフを誘発してしまってまともに冷房・除湿運転が出来ていないと思われます。
特にもエアコン周りが冷えやすい条件として考えられるのが
- エアコン周りが壁に囲まれている
- 窓があっても陽当りがあまり良くない
- エアコンの下に棚などがある
などということですね。
とにかくエアコンをまともに稼働するポイントはいかにエアコン周りを冷やさないか?という点かなと思うのです。
CHECKエアコンの風除けグッズなどを使用したり洗濯物を干したりする際にも注意が必要ですよ!
再熱除湿のドライ運転をした場合
再熱除湿方式のドライ運転の場合は我が家の例を見ると20~22℃程度の室温に近い冷気が出てくることになります。
冷房運転のように急激に冷えた冷気ではないもののもちろん室温に比べて冷たい風であることには代わりありません。
冷房運転時に周りが冷えてまともに動いてくれなかった(サーモオフを起こしていた)エアコンも再熱除湿方式の場合は急激に冷えることもなく運転を続けれられるのだろうと思います。
まさにこの差がドライ運転の方が部屋が冷えてしまうという本質なのかなと想像しています。
ドライ運転の設定温度
ドライ運転は冷やされ除湿された空気を再度温めて排出してくれるドライ運転方式になります。
この挙動に関してはエアコンのメーカーや機種により違う可能性もあると思うのですが、我が家の使用しているRayエアコンの場合を見ると設定温度によって消費電力・風の温度はあまり変化がないような気がします。
ただし設定温度を2℃上げたから送風温度が2℃上がる訳ではないという意味で変化がないという意味です。
とりあえずドライ運転で部屋が冷えすぎてしまうと感じる方は設定温度を少し上げて様子をみるのが第一でしょうか。
こちらの詳しい検証はこちらの記事にて紹介しておりますので宜しければご覧くださいね。
関連 【一条工務店】エアコンは冷房・ドライと温度設定で消費電力がどれだけ変わるのか?
冷えすぎる事への対策は?
特にも春から梅雨時期にかけては外気温が上がるのは一時的なものであり夜には外気温が下がることが一般的かなと思います。
また晴れている日は良いものの曇りがちな日は日射も少なく室温が上がりにくい状況になると思います。
常々シェードセイルなどの日除けが必要と言っているのは
- 春から梅雨時期にかけて出来るだけエアコンを使わないように日射を遮る
- 真夏に強い日差しが室内に入り込み室温上昇を防ぐ
という点からなのです。
もちろん単純に陽射しを遮り陽射しを浴びた室内が熱を持つのを防ぐ役割もありますよ。
しかし我が家のように年中室内干しをする家にとっては春先から既に室内の絶対湿度が上がりすぎてエアコン除湿を使うタイミングが多くなってきます。
その為に今までとは逆の事を言うようですが
- 本当は日除けを取り外し日射をあえて取り込むほうがエアコンを適切に稼働できる。
という矛盾した事が出てくるのですね。
そして一番は限られたスペースだけを24時間冷房しようと思っているのがまずは失敗の原因かと思うのです。
あくまで家全体・もしくはかなり広い範囲を管理するのが目的でありますからその原点を間違わないで欲しいなと思うのです。
- 適切にエアコンを稼働する状況に慣れていない。
- ドライ運転でも冷風を直に浴びて寒い。
- 冷風を直接浴びない対策が万全でない。
などなど、あらかじめ準備された家でないとエアコン1台や最小限の台数での全館冷房は難易度が上がるのだなと実感させられます。
まとめ
このように一見すると冷房運転の方が部屋が冷えそうな気がするのですが、その条件によっては再熱除湿方式のドライ運転の方が継続的に冷房・除湿運転を継続出来るんですね。
結果としてサーモオフを誘発し送風状態が続く冷房運転よりもドライ運転の方が部屋が冷えてしまうのかな?と推察しました。
ただしこれはしっかりと除湿がされた上での事ですから冷房運転だけで過剰に部屋が冷えている状態とは種類が違うものだろうと思います。
部屋が冷えすぎるなら本末転倒で冷房運転の方が良いじゃないかと言ってもその状態ではおそらく湿度過多の状態であろうと思うのです。
ここで気をつけなければならない事は
- そもそも全館冷房に対応していないエアコン環境
- 稼働時期による特徴
- 冷やそうと思っている空間の違い
が大きいであろうということです。
- 全館冷房を想定していない環境ではやはりエアコン周りの環境が冷えやすく条件的に良くない事。
- お問い合わせが来ていたのが4月~5月のまだ外気温が上がりきっていない時である事。
これらの事から余計に室温が下がってしまったのだろうと思います。
全館冷房に関する質問を多く頂くのですが間取りだけでは分からない周りの環境・陽当り・生活環境などもエアコンの動きには大きく関わってきます。
一番はエアコンの動作をしっかりと把握して自分の家と生活にあった設定を見つけることでしょうね。
特にもこの春から梅雨時期にかけては地域や家の環境によりエアコンの運用方法がかなり変わると思います。
一般的には再熱除湿方式のドライ運転があれば暮らしやすい環境を作れると思いますので是非ともエアコンの設置場所とエアコン本体の選択肢は間違えないようにお願いします。
そしてその稼働環境とエアコンから出ている冷気の質をしっかりと把握できるようにみはりん坊などのグッズを適切に使ってみましょうね。
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