エアコンの冷風って直接浴びるととても寒いですよね。
近年は「冷房病・エアコン病」なんていうワードもよく聞くようになりました。
気候の変化により熱中症対策として無理をせずエアコンを積極的に使いましょうとも言われています。
しかしそのエアコンから出る冷風が苦手な方も多いかと思います。
そんな時に見かけたこちらの商品が人気のようですね。

入荷待ちの通販も多いようですが実はこのカタログなどの写真を見るだけでその効果に疑問を持ったんです。
その形状から冷房時に使用するとエアコン付近が過度に冷やされてサーモオフを誘発しまともにエアコンが動かないのでは?という疑問を持ったのです。
今回は実際にこの商品を取り付けてエアコン付近の状態を計測してみましたのでその結果報告を。
そしてどんな人が使うと効果を感じることが出来るのか?
これを使わなくてももっと有用な方法があるよという点を紹介したいと思います。
タップで飛べるもくじ
エアーウィングシリーズ
エアーウィングシリーズは株式会社ダイアン・サービスさんが販売する商品です。
業務用・家庭用エアコンの
- 直撃風
- 温度ムラ
- 冷房病
- 省エネ
- 乾燥対策
などの為に既存のエアコンに設置するだけでエアコンの直撃風を防ぎ、空気を部屋全体に循環させて効率のよい温度調節を実現するという事です。
詳しくはこちらの公式HPの説明をご覧下さい。
公式HP 株式会社ダイアン・サービス エアーウィングシリーズ
エアーウィングKaze-Yoke(かぜよけ)
今回紹介しますのは家庭用エアコンに気軽に取り付けられるエアーウィングシリーズの中でもエアーウィングKaze-Yoke(かぜよけ)という商品になります。

このようにエアコンの吹出し口の下に取り付けることによりエアコンから出てくる風を防ぎ、風の種類によって上下に循環させてくれるという商品です。
ではなぜこの商品に対して疑問を持ったのでしょうか?
エアコンの動きは単純明快
全館冷房に関して色々と記事を書かせて頂いておりますがエアコン冷房というのは基本的にとても単純な物だと思います。
簡単に動きの説明をしますね。
ちなみに冷房運転中を例にしていますが「冷房中=除湿中」と読み替えてもらってもほぼ間違いがないです。
設定温度まで下がる→送風モードに
エアコンが冷房運転中に部屋が設定温度まで下がったと判断すると除湿を行うコンプレッサーを停止し自動的に送風運転になります。
これはつまり壁に大きな送風機が付いている状態と同じですね。
なので消費電力もほとんど掛かりません。
24時間冷房で28度設定の場合はこのパターン
この状態をサーモオフと呼びエアコンを稼働しているつもりでもただの風を循環させているだけの状態になります。
よくエアコンの電気代などの件で
- 26~28度設定ぐらいで電気代がすごく安くなりました!
- エアコンは切らないで24時間稼働した方が省エネですよ!
- 電気料金も掛かりません!
というレビューを見るのですが恐らくその室内の状態は湿気も高く十分な除湿が出来ていない状態なのかなと思います。
ただし真夏の湿気を多分に溜め込んだ外気よりは室温も湿度も低いためにそれで満足しているのかなと思います。
送風=湿気を吐き出している状態
エアコンが設定温度になり送風状態になった際(サーモオフ状態)にはどのような状態なのでしょうか?

エアコンが冷房運転をしている際にはエアコン内部で除湿が行われて除湿された水分は排水ドレーンより室外へ排出されています。
しかしエアコンが設定温度に達してサーモオフした場合には除湿を停止し送風状態になります。

さっきまで除湿するためにエアコン内部に取り込まれた湿気が今度は送風されている風に乗って室内に戻ってきます。
これがエアコンが稼働していても室内の湿度が下がらず逆に上がってしまう原因ですね。
上がった湿気を除湿するには設定温度を下げるしか無い
サーモオフ状態では除湿ができないので室内はどんどん湿気って不快になっていきます。
気になる人は除湿しようとさらにエアコン操作をすると思うのです。
設定温度になったエアコンはまともに稼働しませんので冷えてしまった室内においてエアコンを稼働させるには設定温度を下げるしかありません。
そうすると室温はどんどん下がって来ますよね。
そうしてエアコンは動かなくなる。
これがサーモオフによる負の連鎖であります。
そしてそれを改善できる唯一の方法が再熱除湿方式のドライ運転なのです。
再熱除湿方式の場合はエアコンかれ出てくる冷気が20℃を超える程度まで暖められて出てきますので部屋を過度に冷やすことがありません。
CHECK
一条工務店のRayエアコンから再熱除湿方式のドライ運転が無くなってますので対策が必要になります。
全館冷房の基本もエアコン周りを冷やさないこと
このようにエアコンを適切に稼働するためにはエアコンの周りをいかに冷やさないか?いかにエアコンを稼働し続けるか?がポイントになります。
エアコンの温度はどこで測定する?
エアコンには様々なセンサーが付いているのですが室温を計測するセンサーは多くの場合エアコンの室内機の中に取り付けられている事が多いです。
これは機種により設置場所が違います。
エアコンは暖かい空気が溜まる場所に設置する
この事からエアコンは出来るだけその周りが暖かい状態を維持出来る場所に設置したほうが適切に稼働できるという事になります。
なので全館冷房に対してエアコンの設置位置を決める際には
- 吹き抜けなど
- 2階のホールなど
- 南側や西日を浴びる場所
などという常に暖気をエアコンに供給できる場所が向いている訳です。
いかにエアコン周りを冷やさないようにするかが適切にエアコンを稼働する大きなポイントになるのです。
エアーウィングに対する疑問
ここまで説明したようにエアコンはその周りをいかに冷やさないか?でその稼働状態が大きく変わってきます。
しかしこのエアーウィング。

パンフレットにこのような取り付け図があり冷気はエアーウィングにより前方上部に送られるような図になっています。
この図の通りであれば冷気はダイレクトに斜め下には送られず冷風を直接浴びることは無いように見えます。
しかしこの図に冷気の流れを書き足すと

このようになりエアコン付近が過度に冷やされるのでは無いか?と思ったのです。
それでは実際にエアーウィングを取り付けた状態でエアコン周りの状態はどのようになるのでしょうか?
実際に測定をしてみましたのでその様子をご覧ください。
今回の検証は冷房運転時についての検証です。暖房運転時に温風が直接当たらないようにという目的の場合を想定したものではありませんのであらかじめご了承下さい。
エアーウィングでエアコン周りは冷えるのか?
それでは測定環境を紹介しましょう。
測定に使ったのは皆さんお馴染みの絶対湿度まで測定できるみはりん坊Wです。
※下記アマゾンリンクにて警告表示がありますが問題ありませんのでご安心下さい。
こちらを普段から使用しているRayエアコン吹出口の他にエアコンの直下にも設置をしました。

以下は比較写真を掲載しますが1番は吹出口・2番はエアコン直下のみはりん坊で統一します。
エアコンの基本的な稼働条件は
- 冷房運転
- 設定温度:23℃
- 風量設定:弱運転
という全館冷房時に通常運転するエアコン状態です。
これによりエアコンから出た冷気によりエアコンの直下がどれだけ冷やされるのか?をテストしてみたいなと思います。
- 通常時と同じなら◯
- 通常時より冷えちゃったら✕
冷えてしまえば結果的にエアコンのサーモオフを誘発してしまいます。

ちなみにエアコンを稼働する前の状態はこの様になっています。
外気温が30度に迫ろうかという日でしたので室温も上がっていました。
室温の差は誤差の程度ですね。
通常使用時
まずは何も設置しない場合にエアコンを稼働するとどうなるでしょうか。

エアコンからは非常に乾燥した冷たい冷気が出ていることが分かると思います。
この状態で10分ほど放置してみましたがエアコン下の温度変化はほとんどありませんでした。
通常の稼働時には冷房運転時に室温が極度に温度低下しなければエアコンが稼働し続けられる状態であることを示しています。
エアーウィング装着時
それではエアーウィングを装着してみましょう。

このような形状になっています。


今回は装着の手順は省略させていただきますが両面テープでエアコン室内機に貼り付けるだけなのでとても簡単な作業でした。
さてエアコン周りの状況はどうなったでしょうか?

エアコンの吹出口から出ている冷気はさらに低温になっていますがそれよりも顕著にエアコン直下の温度が一気に低下しているのがよく分かると思います。
このRayエアコンの温度センサーの位置はハッキリと分かっていません。
しかしこの状態が続くとエアコン本体も極度に冷やされサーモオフの状態になりやすいと思われる訳です。
思ったとおりの結果になってしまいました。
エアーウィング脱着後
その後にエアコンはそのままの状態でエアーウィングを外してみました。
その結果がこちらになります。

このようにエアコン直下の温度は一気に戻り室温にかなり近い状態になりました。
やはりエアコン直下の温度低下の要因はエアーウィングにあったと思って良いのかなと思います。
エアーウィング装着の可否は?
このようにエアーウィングはエアコンの挙動をしっかりと管理する人にとってはエアコン周りを過度に冷やしサーモオフを誘発するあまり好ましくないものであるような気がします。
しかし設置条件や一定の人には満足が出来る商品であると感じます。
普段からサーモオフ全開でエアコン稼働している人は◯
エアコンの挙動を全く気にせずに
- エアコン冷房26~28度設定
- 風量も自動設定
- 湿度とかあんまり気にしない
いままでこんなエアコンの設定で不快感を感じたことがないような方はエアーウィングを装着しても使用感にはさほど変わりがないのだと思います。
風当たりに関してはエアコンが個室のベット直上などにある場合はこれから紹介する使ってみて感じたデメリット部分が気にならないのであれば使ってみても良いのかなと思います。
全館冷房・湿度管理派の人は☓
逆にエアコンの挙動をある程度把握し湿度管理をしっかりを行うつもりの方はエアーウィングの装着をおすすめしません。
もしもこれから全館冷房や湿度管理に挑戦してみたいなという方でエアコンの冷風を気にされる方は別の方法を試したほうが良いと思います。
とはいえ全館冷房を計画される方は風が直接当たって困る場所にエアコンは設置しないでしょう。
リビングなどであれば別の方法を試すことも出来そうです。
部屋が湿気って不快になった経験のある人も☓
また寝室や個室などに設置するエアコンに対してはただでさえサーモオフを起こしやすい環境にありますので装着はお勧めしません。
そのような小さな部屋でエアコンを稼働させた場合にはサーモオフの負の連鎖により室温が極度に下がった上に湿度が上がってしまう超不快な経験をされる方も多いと思います。
このエアーウィングはそのような現象を加速させる可能性があるので使用しないほうが良いかなと思います。
業務用エアコンに使用するのは△
今回は家庭用のエアコンに装着しておりますエアーウィングですが、ラインナップを拝見するとオフィスなどで使用される業務用の埋め込みエアコンなどに取り付けるタイプもあるんですね。
住宅用のエアコンと違い特定の人が風を浴びてしまう割合が高いのでしょう。
そのような場合に取り付けるのであれば採用の価値はあるのかもしれませんね。
ただし業務用エアコンの温度センサーがどのようになっているのか全く知識がありません。
家庭用エアコンよりもサーモオフの頻度は少ないのかな?と勝手な想像で思うのですが、それでもサーモオフを誘発する可能性もありますのでやはり注意が必要ですね。
使ってみた感じたメリット・デメリット
それではせっかくエアーウィングを設置し使用してみたのでそのレビューをしてみたいなと思います。
お値段→◯
今回使用しました家庭用エアコンにとりつけやすいエアーウィングかぜよけはAmazonではこのようなお値段になっております。
楽天やヤフーショッピングで差はあるものの手に入れやすい価格かなと思います。
取り付けやすさ→◯
箱から出した状態で既にこのように組み立てがされています。

この状態で既に貼り付けられている両面テープを剥がしてエアコン室内機本体へ取り付けするだけです。
デザイン性→◯
エアコン本体の色が白の場合ですが取り付けての違和感は余り感じません。

流線型のデザインもありますが特に設置していることを過度に主張するようなデザインではないと思います。
耐久性→☓
通販サイトのレビューなどにもありますがまずは部品の接続部はあまりしっかりしていない印象があります。

特にもこの手動で増し締めするネジ部分が弱いように感じます。
位置設定をする際に力を入れずぎて壊した例もあるようですが、なによりもこの部分が貧弱で設置位置を維持出来ない印象がありました。

私の計測中にも右側が下がってきています。
本気で取り付けをしっかりすると落ちてこないのかな?と思いながら同じようなレビューも目にしますのである程度の覚悟が必要なのかもしれません。
エアーウィングの取付角度や風の当たる強さなども関係があるのかもしれません。
風除け具合→☓
これが一番の問題かなと思います。
冷房運転が前提のお話になりますが私が設置しました大型のRayエアコンの場合は風をガード出来ていたか?と言われると疑問が残ります。
エアーウィングの横幅が足りていない
取り付けの状態を再度確認してみましょう。

直下の冷風はある程度防げているような気もしますがどうしてもサイドからの冷風漏れが多いです。
寝室のベッド上などのかなりピンポイントな状況で風をガードするならある程度の効果を見込めるかもしれません。
しかし個人的に冷風をガードするなら別の方法を使ったほうが効果があるなと感じました。
エアコンの風除けにはサーキュレーターがおすすめ
我が家ではリビングに設置したRayエアコンで全館冷房を行っています。

このようにRayエアコンの目の前にはソファがありますので何も対策をしなければ盛大に冷風を浴びるのですが。

我が家ではサーキュレーターを採用してエアコンから出てくる冷気に風の壁を作って冷気をガードしています。
全館冷房への準備記事にてレビューをしておりますがサーキュレーターを使ってもエアコンの左右から冷気の漏れはあります。
しかしエアーウィングを取り付けた時に比べて格段にエアコンの冷気をガードしているのが体感できます。
もしも寝室などでエアコンの風が直接当たって寒いという方は是非とも一度試して頂きたいなと思います。
扇風機でも良いのですが首が上まで向くタイプは少ないですよね。
ちょっとした台の上に乗せるなどが出来るならばそれでも良いかなと思います。
静音性がポイント
寝室などで寝る際に冷風の直撃を防ぐ場合にサーキュレーターや扇風機の静音性は大きな問題かなと思います。
一般的に静音性というと「DCモーター」を使った物が有利になりますよね。
しかし扇風機もサーキュレーターもDCモータータイプはまだまだ高額なものが多いです。
その際におすすめなのが無印良品のサーキュレーターです。
無印良品のサーキュレーターは大小のタイプがありますが2018年に発売しているモデルはどちらもかなりの静音化されているモデルになります。
DCモーターモデルに負けない静音性能を備えていますしお値段もかなり安いのでおすすめしたいです。
ただし「エアコンの冷風を防ぐ」という目的の場合は大風量タイプをお勧めします。
参考 無印良品 サーキュレーター(低騒音ファン) MJ-CF18JP
こちらの商品も静音化・省エネ化が進んだ新しいタイプですが、単純な風を送り込む範囲から小型のタイプでは足りないと感じます。
無印良品のサーキュレーターは2018年にモデルチェンジをしております。
- 新 MJ-CF18JPーW
- 旧 AT-CF18R-W(K)
旧型のタイプは騒音値も省エネ性もかなり劣っているタイプですので通販などでご購入の際には型式をよく確認して購入されて下さい。
まとめ
お手軽にエアコンの風除けとして設置ができるエアーウィング。
その形状から疑問を持ったことから初めた検証でしたが結果は予想通り思わしくないものでした。
エアコンで冷房運転をする際にはエアコンの本体付近をいかに冷やさないか?がポイントになるのです。
しかしエアーウィングを設置することでエアコン直下を過度に冷やすことになります。
これによりエアコンはサーモオフと呼ばれる正常に稼働しない状態に陥り不快な湿った風を室内に送り出すただ送風機となってしまうのです。
エアコンの冷風を防ぐためには全く別の方法もあります。
私の紹介しましたサーキュレーターや扇風機で冷風を撹拌し風の壁で防ぐ方法もあります。
しかしそもそもは間取り設計時においてエアコンの風をダイレクトに当てないようなエアコンの設置場所を選ぶことなのかなと思います。
間取り設計上でベッドなどの上に設置しなければならない場合も多いと思います。
エアコンの風向きを上下左右にしっかりと調節できるような機種を選択することも大事なことなのかなと思います。
[…] エアコンの風除けで人気のエアーウィングを積極的におすすめ出来ない理由。エアコンの冷風って直接浴びるととても寒いですよね。 近年は「冷房病・エアコン病」なんていうワードも […]
[…] 念のため同じようなことが起きていないか調べたところ「一条工務店で建てたまぼこの家記録」さんのブログでサーモオフ状態になっているのでは?といった同じような現象が起きていま […]
風よけをつけてみたものの、結局止まってしまって困っていました。原因が分かってすっきりしました。解決は難しいですが、何か考えてみます。
パパ太様
.
コメントいただきましてありがとうございます!エアウィングのデメリットはエアコンをしっかり使えている人ほど異変に気付くものだと思います。我が家みたいにサーキュレーターを使ったりして改善できれば良いのですが、やっぱりエアコンの取り付け位置って大事です。よい解決方法が見つかるといいですね!