新築一戸建てを建築する際に、間取りと共に照明計画には頭を悩ませることと思います。
その中で迷う点が
- センサーライトいかに取り付けるのか?
ではないでしょうか。
住宅設備大手のパナソニックさんでいうと「かってにスイッチ」と呼ばれるセンサースイッチに連動した照明。
また照明本体にセンサーが取付けられた物もあります。
センサーが人の動きを検知して自動で明かりをON/OFFしてくれる快適装備です。
一般的にセンサー式の照明は
- 手が塞がっている事が多い玄関や玄関ポーチ
- 通過するだけの廊下
- 電気の消し忘れが多いトイレ
などへの設置が推奨されています。
しかし人が常にいるような空間への設置は、推奨されていないというか検討時に考える事もないでしょう。
しかし我が家では約23畳あるLDKにこの「かってにスイッチ」に連動したダウンライトを設置しました。
この記事では「センサー式照明」や「かってにスイッチ」などの設備を、LDKなどの大空間に設置するメリットと注意点をご紹介したいなと思います。
センサー式照明は人が常に居る場所には設置しないという大前提は、昔ながらの間取りの名残りではないでしょうか。
タップで飛べるもくじ
センサーライトのしくみ
センサーライトは各社で販売していますが、今回は大手のパナソニックさんの商品を例に説明をさせて頂きます。
【壁取付】かってにスイッチ
まずは壁に「かってにスイッチ」というセンサー付きのスイッチを取り付ける物です。
このセンサーに反応すると、スイッチに接続された照明が点灯します。
スイッチは壁に取り付けますのでセンサーの範囲は主にスイッチから水平下方向になります。
また子機を追加することにより広範囲でのセンサー感知が可能になります。
【天井取付】かってにスイッチ
こちらは天井のダウンライトにセンサーが内蔵されているものです。
天井取付タイプのセンサー範囲は調整が可能であるものの、主に天井から真下方向になります。
こちらも子機を追加することによりセンサー感知エリアを広げることが出来ます。
かってにスイッチの隠れた調節機能
かってにスイッチをLDKなどの大空間に取り付けるにあたり、必ず知っておいて欲しい機能があります。
簡単に書きますと
- 検知エリアを調節できる
- センサー感度を調節できる
- 点灯時間を調節できる
という事です。
壁取付タイプのかってにスイッチですと、スイッチカバーを開くと調節が可能です。
また天井取付タイプもダウンライトのカバーを開くと調節が可能です。
この2つの大きな違いは、天井取付タイプの場合は脚立などを用意しないと調節が出来ないことです。
センサー範囲(検知エリア)とセンサー感度(センサーが反応する際の周りの明るさ)をしっかり調節することで意図しない点灯を防ぐ事が可能です。
しかしこの機能、しっかり理解して使いこなせていない方も多いような気がします。
新築一戸建ての間取り変化
そもそも「かってにスイッチ」というのは基本的に
- 手が塞がりスイッチを押しにくい
- 通過するだけなど短時間しかいない
- 電気の消し忘れが多い
などのエリアに推奨されるわけです。
なのでかってにスイッチの商品紹介でも
- 外玄関や勝手口
- 内玄関
- 廊下や階段
- トイレなど
への設置をおすすめしています。
一方で「人が常に居そうな場所」への設置を前提に考えていませんよね。
この先入観の原因の一つに「間取りの変化」があるのではないかと思っています。
昔ながらの間取りというと廊下が中心にあり
- 居間
- キッチン
- 洗面・脱衣
- トイレ
- 各個室
などがそれぞれ独立しているような作りが多かったのではないでしょうか?
一方で近年では新しい工法などが出てきたこともあり、
- キッチンはダイニングとリビングを見渡せる対面キッチン
- それらを大空間の1つの部屋として考える
- リビング階段の需要
などからもLDKを「1つの大きな部屋」として間取り設計される例が多いと感じます。
こちらは我が家の間取りですが、家の中心に約23畳のLDKがあります。
間取り設計にもよりますが、このような場合にLDKというのは「部屋」であると共に家の中で重要な「動線」でもあると思います。
これは昔ながらの家にはあまり無かった考え方で、「リビング階段」などの普及と共に最近の間取り設計に多い作り方ではないでしょうか?
人が居る空間へ取り付けが前提でない理由
一方でセンサーライトが人が常にいるような居室に不向きである理由として
- 意図しないタイミングで点灯/消灯してしまう
という心配点が大きいのかなと思います。
そして何よりも、間取り設計時に照明計画を作るときに
- 通常の照明とセンサー照明はどちらかは迷うが併用はあまり考えない
という点もあるのかなと思います。
とは考えますが、両方使おう!とはあまり考えませんよね。
いづれにせよ、基本的に人が居座る場所においてセンサーライトをメインに考えるとやはり使いにくい照明となってしまいそうです。
照明を併用する事でデメリットはほぼ解消可能
つい通常の照明とセンサーライトはどちらが良いか?という選択をしがちです。
しかしLDKにおいて「通常の照明」とは別に「センサーライト」を使用すると普段の生活にメリットが大きいと感じます。
在室時にむやみに点灯しませんか?
在室している=通常の照明は点灯しているのが前提です。
「かってにスイッチ」などの場合は明るさセンサーがありますので、指定した明るさ以上では照明が点灯しません。
つまり極端に言うとセンサー感度を最低にしておけば、よほど室内の明るさが足りない場合以外はセンサーが反応しません。
メインの照明が点灯していますのでセンサーライトが点灯/消灯することはありません。
我が家のテレビの上の関節照明のみを点灯している状態。
関連 【Web内覧会】LED間接照明でライティングされたLDK・リビングのテレビコーナー
この状態は明るさを若干落としている状態です。
LDKの反対側にあるかってにスイッチ付近には直接光が当たらない、にも関わらずセンサーが反応することはありません。
シアタールームにする際に困る
また部屋をかなり暗くして映画などを楽しむ場面もあるでしょう。
また来客が一時的にセンサーエリアに寝ることもあるかもしれませんね。
センサーエリアをカットする
先程も紹介しましたように、「かってにスイッチ」にはセンサー感知エリアを制限することが可能です。
壁取り付けタイプの場合はセンサーのシェードを左右に移動することでエリアを制限。
また天井取付けタイプの場合はシェード(かさ)を変更することでエリアの広さを制限出来ます。
また下方向へのセンサー角度も調節が可能です。
我が家ではこのようにエリアを制限することにより、暗い環境で畳コーナーエリアに居てもセンサーが反応しないようにしています。
ブラーバやルンバなどお掃除ロボット対策は下のエリアもカット
我が家でも愛用している拭き掃除ロボットのブラーバ。
作動音がしないので夜間に稼働される方も多いのではないでしょうか?
簡単に言うとブラーバは「かってにスイッチ」に反応します。
と私も思います。
我が家ではセンサーの下部分にマスキングテープを貼って下のエリアも制限しています。
これにより床に近い部分はセンサーに反応しませんので、夜間にお掃除ロボットが動き回っても照明が点灯することはありません。
ルンバの場合は音が大きいので夜間に動かす例は少ないと思いますが、このような事で対処が可能です。
またこの場合に天井取付タイプの「かってにスイッチ」の場合には対処ができません。
お掃除ロボットを前提に考える場合には壁取付タイプを選択するべきでしょう。
キッチンだと食洗機や炊飯器の排熱に反応しない?
かってにスイッチは「熱線センサ」を使っているので人や物の「動き」だけでなく「温度変化」にも反応します。
設計時に心配だったのが
- ビルトイン食洗機や炊飯器からの排熱に反応しないか?
という点でした。
我が家の「かってにスイッチ」とビルトイン食洗機や炊飯器との距離は約5メートル。
結果的に丸2年暮らしていてもこの距離で反応したことはありませんでした。
短期的な対応ならセンサーライトを切る
先程のシアタールームの例や来客者が寝るなどの、毎日は無いような事例でセンサー感知が問題になる場合。
その際はもうセンサーライトを切ってしまうことでも簡単に対処できます。
壁取付けタイプも天井取付けタイプもどちらもメインスイッチは壁にありますので、「スイッチを切る」にしてしまえば済む話です。
このような場面は限られたものだと思うので、その時だけスイッチを切ってもいいじゃないですか。
夜の簡易作業はオートライトで十分である
このLDKなどの大空間にセンサー式照明を併用するメリットはそれだけではありません。
主に電気を全て消して寝静まるような時間帯を想定してですが、
「かってにスイッチ」を配置していればそのような操作は必要ありません。
短時間の軽作業であれば「かってにスイッチ」の点灯時間で十分です。
設定時間を過ぎれば自動的に消灯してくれますので問題ありません。
そして「かってにスイッチ」が点灯した後に部屋のメイン照明を点灯すれば、指定時間後に「かってにスイッチ」は消灯しその後は点灯する事はありません。
このようにメイン照明のサブ照明として「かってにスイッチ」を使うことでデメリットはほぼ感じる事はありません。
またその際に点灯する照明は、我が家のような20畳クラスの広さであれば100Wの拡散タイプのダウンライト1灯で十分です。
我が家ではリビングライコンでつかう照明を同じものを使用することにより、天井のダウンライトが一斉に点灯しても違和感がないように設計をしました。
関連 照明・SA・ナノイーなど天井の見栄えの為に必要な準備。
とにかく夜間にちょっとした軽作業をする際には多くの明かりは必要ありません。
これは移動だけを念頭においた「センサー式フットライト」では代用が出来ない事です。
関連 停電や暗闇対策にパナソニック・ニトリ・無印のセンサーライトを比較
実際の間取りへの採用事例
このLDKにかってにスイッチ案を採用しているのは我が家だけではありません。
実は間取り検討時に相談をいただき、こちらのお宅でも採用して頂きました。
こちらのお宅では玄関や階段方面からLDKに入室する場所に「かってにスイッチ」を配置しました。
また部屋を暗くしてリビングでくつろぐ際に、センサーが反応しないようにこのようなセンサー範囲で使用することを提案しました。
このようにLDKにおいて
- 他の部屋との導線となる入り口
- リビング階段
などの動線でセンサーを感知出来るとよいです。
一般常識にとらわれない照明計画を
この「かってにスイッチ」に代表されるセンサーライトを調べると、多くの記事でリビングなど人が居る空間にはおすすめしないと書かれていると思います。
それはセンサーライトのみを使うことを前提としているからです。
普段の照明はメインのシーリングライトやダウンライトに任せましょう。
一方で夜間にLDKにおいて
- 廊下代わりに通過する
- ちょっとした作業をする
という際にはセンサーライトは本当に便利なものです。
一戸建ての間取りや照明計画を検討中の方は、恐れずにご検討頂けると嬉しいです。